今回は、日本モンテッソーリ教育綜合研究所のセンター長、私の先生“松浦公紀”先生のプレゼンテーションからご紹介します♬
松浦公紀先生の発表「違いを祝う」平和の文化を育む
モンテッソーリの言葉「平和は政治やイデオロギーではなく、教育によってのみ達成できる」
子どもたちが平和な世界を実現するために、モンテッソーリ教師としてできることは何でしょうか。
モンテッソーリは「大人は戦争を引き起こし、子どもは戦わないが常に犠牲者は子どもたちです。だからこそ、子どもから平和をはじめない限り平和は訪れない」と言っています。
平和教育とは、単に子どもに戦争の話をして理解させたり覚えさせたりすることではなく、子どもの想像力に影響力を与え、子どもの最も深い確信にのめり込ませることだと言っています。
そこで、モンテッソーリは、「宇宙的教育=コスミック・エデュケーション」を展開。全てのものが宇宙の一部であり、互いに結びついてひとつの全体的な調和を形成していることを子どもたちが学び、認識するように導くことを平和教育としています。平和を構築する「人間」に焦点を当てるために、まず宇宙の始まりからやるっていうのが、モンテッソーリ教育の面白いところです♪
宇宙の誕生から平和へと繋ぐプレゼンテーション(提示)
今回のプレゼンテーションは、文化教育の一部。文化教育には、全体から部分へという考え方があります。なので、まずは最も大きい“宇宙”の始まりからお話が始まるのです。
「宇宙と星の誕生」って、やったことありますか??たらいに水を入れて、そこに墨汁をピュッとして、紙をパラパラやって(説明簡略しすぎですが笑)、始めは何もなかったところに宇宙が広がって星ができたことを紹介するものです。トップにしている写真です。私は子ども役として久しぶりに松浦先生の隣で提示を見させていただいたのですが、大きなたらいにたっぷりの水が入っていて、そこに墨がもくもくと広がっていくのを間近で見て感動しました~!わざわざ水と墨?って思う方もいるかもしれませんが、子どもたちに強く印象を残し、宇宙を意識づけるためにこのような提示をします。
続いて「太陽系の紹介」です。太陽の一番近くにいるのが、水星と紹介していく・・・そしたら、誰が太陽系になりたい?と言って、子どもに惑星を持ってもらって、太陽の子を中心にして実際に歩いて回る!これは今までやったことがなかった笑。広い場所で、子どもたちとやったら面白そうですよね~!これで、太陽の周りをグルグル回っている惑星の仲間が太陽系で、その中の一つが地球であるということが印象として残りますよね。動いて学ぶ!のが幼児期の学び方ですから♪
今度は人間(部分)から始まる「私たちは宇宙の一部」です。提示の写真はないのですが、このサイズいろいろなタッパーを使った提示がとっても面白かった!!小さな人間たちのフィギュアを見せて「とっても小さいけど、これはみんなだよ。みんなは、どこにいる?」と聞くと、「お部屋!」「学校」と子どもが答える。「これが学校です」と行って、一番小さなピンクのタッパーに人間を入れる。振ると音が鳴って、「いる」ことがわかります。次は「学校はどこにある?」と聞くと、「東京!」と答える。そしたら「これが東京です」と言って、東京のタッパーに学校を入れる。そうやって、東京→日本→アジア大陸→地球→太陽系→宇宙という順で大きいタッパーに入れていきます。入れる度に振って音を確認し、私たちが「いる」ことを確認します。宇宙のタッパーには、スポンジが付いていて音がならにようになっているので、振っても音は聞こえませんが、そこには私たちが「いる」のです。私たちは宇宙という全体の中の一部であること、宇宙の中にいることが、話で聞くよりも印象として残ると思いませんか?
人間だけではありません。花も動物も物も、「みんな宇宙の一部で、みんな地球にいる」ことを印象付けるため、毛糸を付けたさまざまなものを、地球儀に繋げるようにおいていきます。
そして最後は「私たちは全て繋がっている」ということを、毛糸を持って繋がることで表現。「みんなはひとりでは生きていないよね、家に帰れば家族がいるし、学校にはお友達がいるでしょう。」「○○さんのお友達を一人教えてください。○○さんですね。あなたと○○さんは繋がっているので、毛糸で繋がりましょう。」と言って、毛糸玉を回して繋がっていきます。そして、「私と○○さんは繋がっています。毛糸をたどっていくと、皆さんともつながっています。もしかしたら、世界中の人とつながっているのかもしれません。」と言って、電気を消します。「暗くなると不安ですよね、でも、毛糸を引っ張ってみてください。誰かと繋がっていることがわかります」と言って、ジョンレノンのイマジンを聴きました。感動的な提示でした♪
時間の関係で、実際の提示はここまで。続いて「人種の紹介」によって、さまざまな違いを紹介し、子どもたちは少しずつ違いを知り、徐々に違いを受け入れられるようになっていくよう、事実のみを伝えていきます。同時に違いを知ることで、一つのものを一面的でなく、多角的に見る視点が備わっていきます。自分とは違うものを受け入れることのできるこの感覚は、確実に平和へと繋がります。最後に「食物連鎖」の提示によって全てのものが互いに依存しあって生きているということを伝える予定だったそうです。これがモンテッソーリ教育の「自立から相互依存へ」という概念です。
全ての国の先生方が、とっても興味深そうに松浦先生のプレゼンテーションを見ていて、この空間はまさに“平和”だな~と思いました。本当に、素晴らしい時間でした!!
日本からは、他に2組の先生が登壇されました♬
■村上あつこ先生&納富みゆき先生(ちゃいるどはうす森のほいくえん:茨城県)
『身近な自然の中で育つ子どもたち』
去年の2月に北関東モンテッソーリ教育研究会に参加した際に、園見学をさせていただいた園の発表です。野菜やお米を本格的に作ることができたり、泥んこエリアや実のなる木エリア、ビオトープなど、自然に触れられる環境を意図して作られています。自然と触れる中で、モンテッソーリの5分野に繋がる経験をたっぷりしていて、とても羨ましい環境です。
■安江秋先生&田代直美先生
『平和につながる音楽的アプローチ』
秋先生は0~3の教師資格を取った時の同期なんです。今回ご一緒できて、嬉しかった~♪リトミックの先生からモンテッソーリ教育に出会い、今も大学院でモンテッソーリ教育の音楽教育を研究しています。ちゃいるどはうすの直美先生との共同発表でした。リズム活動の実践で、言語教育の音節遊びからリズム遊び、そして民族舞踊のリズムに繋がるという展開が素晴らしいなと思いました。実際に楽器を用いて演奏してくれて、会場の参加者も巻き込んで盛り上がりました♬
浴衣を着て、参加させていただきました!
今回、松浦先生のプレゼンテーション「民族衣装の紹介」のために、1日目に浴衣を着て参加させていただきました!日本の民族衣装とはいえ、普段来ているわけではないし、窮屈だけれども、本当に着て参加して良かった~と思いました。浴衣を着ているだけで「日本人」とわかってもらえるので、「日本の保育園はどうなの?」ってベトナムの先生が話しかけてくれて仲良くなれたり、「写真撮ろう」と誘われたり・・・私服だったらできない経験ができました。頼まれなくても、次回も着ちゃおうかななんて笑。貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。
2025年はベトナムで開催です!!一緒に行きましょう♪
来年(2025年)は、ベトナムで10月に開催することが決まっています。仲良くなった子がベトナムの子で、別れ際に「来年は必ずベトナム行くね」と約束しちゃいました。来年も参加するぞー!!
そして、いつか私も英語を勉強して、プレゼンテーションするんだから!と、新たな夢が一個増えました♬
需要があるかは置いておいて・・・次回は、シンガポールの観光記録をお届け!笑。
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