【日常生活の練習③】日常生活の練習の5分野

②『運動論・日常生活の練習』

モンテッソーリ教育の活動分野の一つ【日常生活の練習】には、5つの分野が用意されています。まずは、それぞれの分野を紹介していきます。

基本運動

基本運動とは「持つ」「通す」「貼る」など、一言で表すことのできる“動き”のことです。ここには運動論で紹介した、“粗大運動”や“微細運動”も含まれており、一つ一つの動きを獲得し、より洗練された動きとしていくことを目的としています。お座りができるようになった頃から用意してきた微細運動のおしごとからの流れで、1歳半くらいから様々な活動を用意することができます。
ここでの活動は、感覚教育以降の手作業に繋がっていきます。モンテッソーリ教育専用の用具でなくても、100均などで購入したものを用意できるものが多いので、ぜひたくさんの種類のおしごとを用意し、動きの獲得と豊富な経験となるようにお手伝いしてあげたいですね。

自己への配慮

子ども自身を対象とする作業です。衣服の着脱や身だしなみ、自分自身を清潔に保つ方法など、基本的生活習慣を身に付けることにも直結しています。朝起きてからここに来るまでにしてきたことを考えてみてください。それら全てが提示の対象となります。「手を洗う」「髪をとかす」「鼻を拭く」など、日常の中でやっていることを、あえて取り出しておしごととして用意することができます。

環境への配慮

掃除や洗濯、植物の世話などの、自分以外の生き物や物、環境を対象とした作業です。「花の水切り」や「机を拭く」など、基本運動がいくつか組み合わさって行われます。例えば、カブトムシを飼育していたとしたら、土が乾かないように霧吹きを握って水をかけたり、土を替える時にはスコップで土をすくって出すといったように、意識の芽生えの段階に入った子どもたちが、それまでに獲得した動きを活用して行う活動となります。
一般的に、お当番活動に含まれるような活動が多いのかなと思います。お当番のお仕事を考える時にも、子どもたちが獲得した動きを意識して、やり方を考えたり道具を用意すると、子どもたちの達成感もアップしますよ。

社交的なふるまい

自分以外の“人”への配慮が活動になっています。ここでは必ず「相手」がいることがポイントになります。「挨拶の仕方」や「先の尖ったものの渡し方」などが例として挙げられます。おしごととして環境に用意することもできますが、私はおしごととして用意するよりは、朝の会などで集団提示することの方が多かったです。例えば、扉をバンッと音を立てて閉めてしまう子が多いなと感じた時や、イスを引く時に音を立てている子が多いなと感じた時などに、提示するようにしていました。
相手や周囲の人を不快にさせないための礼儀やマナーを伝える分野になりますので、日常の中で「気になるな」と思ったことを提示していくといいなと思います。
また、それぞれの国が持つ独特な習慣や文化などを取りあげることができるのも面白いところ。「お茶のすすめかた」では、日本茶と紅茶だと提供の仕方が違うように、文化教育に繋がる分野でもあります。

運動の調整
線上歩行

その他の分野とは目的が違うのが「運動の調整」です。線上歩行と静粛練習の二つの活動のみしかありません。ここでは、できる動きを調整してコントロールする意志の力を育てることを目的としています。運動のメカニズムのところでもお話したように、子どもは動いて学びます。動けば動くほど動きを獲得し、よりよくできるようになると知っています。だから、動くことは得意なのですが、止まることはちょっと苦手だったりするんです。なので、あえて「できる運動をしない」ことを目的として、とっくに獲得した「歩く」という動きを、つま先とかかとを付けて慎重に行うことで、自分自身をコントロールする力を身に付けて行きます。

提示が大事!!

この日常生活の練習という分野は、他のどの分野よりも提示が大事です。子どもたちは、何よりも動きを獲得したいと思っているので、私たちの動きが吸収する対象で、大事な見本なのです。ぜひ、いつも以上に意識して、分析行動や言葉と動きを分けて見せることをやってみてください♬
提示を学ぼう!~やって見せるという教え方~

ぜひ、園で取り入れてみてください♬

モンテッソーリ教育専用の道具がなくても取り入れられるのが、この分野の良いところです。ここまで読んでいただいて気づいた方もいるかと思いますが、日常生活の中で子どもたちに伝えたいことや、保育内容や月案の目標として書きそうな内容も多いと思いませんか?モンテッソーリ教育は特別なものではなく、あくまでも保育の方法の一つです。ぜひ、子どもへの伝え方の一つとして取り入れてみてください♬
モンテッソーリ教育を導入している園では、この環境を設定していると思いますが、ついつい基本運動ばかりに偏ってしまって、「環境への配慮がない!」とうことがよくあります笑。ぜひ、定期的に環境を見直してみてくださいね。

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