日常生活の練習という分野の背景(根拠)には、運動の敏感期があります。運動の敏感期とは、自分の意志通りに体を動かせるようになることに、興味をもつ時期です。例えば、つかまり立ちをしたい!という時期の子は、身の回りにあるどんなものにでもつかまって立とうとしますよね。髪の毛とか、服とか、ちょうど良い高さのものがあれば、なんでも使おうとします。このように、自立に向かう子ども達に、強いエネルギーとして現れるのが運動の敏感期の姿です。
そんな、運動の敏感期には前半と後半があって、それぞれ異なる姿を見せてくれます。
運動の敏感期の2つの時期
この図は発達についてお話した時に、0~6歳の発達の第一段階も前半と後半に分けられますというところで、意志の発達についてお話した時にも紹介したものです。前半が「吸収する精神(無意識)の時期」で、それがなんだかわからないけど、片っ端から吸収していく時期。後半は「意識の芽生えの時期」で、目的を持って行動したり、意識して取り組んだりする時期です。この図を見てわかるように、3歳になったらスイッチが切り替わるわけではなく、だんだんと意識の量が増えていくイメージです。

意志の発達と同様に、運動の敏感期も前半と後半で姿が異なります。0~3歳の前半が「運動(動き)そのものを獲得する時期」で、3∼6歳の後半が「獲得した運動(動き)を調整、洗練する時期」です。
同じおしごとでも、それぞれの時期に合わせて用意の仕方が変わるのです。
今回は、「シール貼り」と「ハサミ切り」のおしごとで紹介しますね♬
例:シール貼り

前半は“シールを一枚取って紙に貼る”という動きを獲得することを目的としています。なので、一番最初に用意する台紙は、真っ白の紙でOKです。一枚取って貼るという動きがスムーズにできるようになってきたなと思ったら、大きなハートの中に貼るような台紙、そしてシールサイズの〇が書かれている台紙にチェンジしましょう。2歳半くらいを目安に、〇にピッタリ貼ることを面白いと感じるようになります。
例:ハサミ切り


前半は“ハサミで切る”という動きを獲得するために、1センチ幅の画用紙を用意しておきます。パチンと一回で切り落とす(1回切り)ことをくり返し練習します。1回切りができるようになったら、1センチ幅の紙に等間隔に線を書き、線を意識して切るように用意します。切ることが目的だったところから、線の上を切る、ピッタリ切ることを意識してハサミを動かすことが、運動の調整であり洗練ということです。
おしごとを用意する時に意識してみよう
「のり貼り」や「スプーンのあけうつし」なんかでも、それぞれの時期に合わせて用意することができます。日常生活の練習のおしごとを用意する時には、前半の「運動の獲得」と後半「運動の調整&洗練」を、ぜひ意識してみてください。そうすることで、より子どもの発達や敏感期に合った環境にすることができるので、子どもの集中スイッチを押すことができますよ♡
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