【運動論②】生まれたばかりの赤ちゃんができる3つのこと♪(新生児の運動発達)

【運動論②】生まれたばかりの赤ちゃんができる3つのこと♪(新生児の運動発達)

【運動論①】にて、モンテッソーリ教育における「運動」の定義について、また「運動」は意志通りに動かせる「随意運動」と、意志と関係なく動く「不随意運動」に分けられること。「随意運動」は、歩行が完了するまでに必要な大きな動きである“粗大運動”と、手指を使う細かな動きの“微細運動”に分けられることをお話しました。

【運動論②】では、誕生後からの発達について見ていきます。

生まれたばかりの赤ちゃん(新生児)ができる3つのこと

さて、生まれたばかりの赤ちゃんができる、“3つのこと”をご存知でしょうか?

それは、“吸う(吸啜運動)・飲み込む(嚥下運動)・泣く”の3つです。

赤ちゃんは、誕生後の環境で生きていくために最低限必要な、「栄養を摂ること」と、自分一人では生き抜けないとわかっているので、コミュニケーション手段として「泣くこと」ができるようになって生まれてきます。自己教育力のお話をする時に、「誰も教えないのにこの3つが必要だとわかって練習している、これが自己教育力の現れですよ」とお話するのですが、今回は運動発達の視点でお話します。

運動発達に必要なのは

運動を行うには、それを行う器官である『筋肉』と『骨格』、それに指示を出す『神経』が必要です。
筋肉と骨格の二つは、大きさや強さは違えどほぼ大人と同じような形で生まれてきます。とても未熟な状態なのが『神経』です。筋肉や骨格が完成し、さらにそこに指示を出すために必要な神経が繋がってこそ、意志を持って随意筋を動かす「運動」として完成されます。

つまり、生まれたばかりの赤ちゃんは、おっぱいに吸い付くための唇の筋肉と、ミルクを飲み干すための喉の筋肉、お口の周りの運動が完成しているからこの3つのことが可能になるということです。え、でも生まれたばかりの子でも、手や足をバタバタ動かしたり握ったりするよね!?と思いますよね。実はこれは「反射」であって、意志を持って動かす「運動」とはちょっと違っていて、運動を獲得するにつれて、「反射」的な動きは消えていきます。

生きていくために必要な力がわかっていて、それに必要な部分の運動が完成されて生まれてくるなんて・・・なんだか生命の神秘を感じてしまいます笑

神経が未熟とはどういうことか

神経とは、脳からの信号(命令)を各器官に届ける役割をします。

神経細胞 ミエリン化

運動の完成には、神経細胞がつながり合って、その間の道を信号がスムーズに通る必要があります。この道は軸索(じくさく)と言って、電線のようなものです。電線は必ずビニールで覆われていますよね、それと同じように、軸索はそのままだと信号が漏洩してしまいスムーズに流れないので、髄鞘(ずいしょう)というカバーが巻かれていきます。このカバーは、そこに信号が流れれば流れるほど分厚く丈夫なり、それにつれて信号が漏れずに神経細胞へ素早く伝わるようになっていき、運動が完成するというわけです。(これを「髄鞘化(ミエリン化)」と言います)

例えば、ベビージムの下に赤ちゃんが寝ていたとしましょう。ベビージムに付いている鈴を掴もうとする時、“目で見たものに腕を伸ばして掴む”という運動にかかわる神経細胞どうしが繋がって、そこに一瞬で信号が流れることでこれが可能になります。それまでの間は、目で見て触りたいけど上手くできないという状態を静かにくり返しているわけですね。

運動のメカニズム

今でこそ、神経細胞が・・・という説明ができますが、このことは100年以上前にマリア・モンテッソーリが書いた本に載っています。
この図は「運動のメカニズム」というものです。感覚器官、脳、運動器官の関係を表しています。

運動のメカニズム

先ほどの「ベビージムに付いている鈴を掴む」という運動の時、
①感覚器官である“目”で鈴という興味の対象を見つける
②情報が脳に伝わる→③掴んでみたいと判断する
③運動器官である腕や手に「鈴を掴め」という信号が伝わる
④初めて大人が見てわかる「鈴を掴むという運動」として現れる

目に見える行動に至るまでの間に、これだけのことが赤ちゃんの中で起きているんです。

まとめ

大人はこの見てわかる「運動」にのみ注目しがちです。「ボールを掴めるようになった」「立てるようになった」「歩けるようになった」このような成果に至るまでに赤ちゃんのなかで起きていることを考えると、この静かな発達を邪魔しないようにしたいと心から思います。
赤ちゃんの動きはとってもゆっくりに見えます。何度転んでも立ち上がり、くり返し同じ動きに挑戦します。その理由は、大人の目には見えない静かな発達、神経細胞同士が繋がっている過程だからです。

この出発点は、『興味』です。興味があるから触りたいと思う、興味があるから動いて取りに行ってみるというように、動きの出発点には必ず『興味』があります。この時期の大人に出来るのは、興味の対象となるものを赤ちゃんのいる環境に置いてあげることです。

新生児が過ごす環境については、今後ご紹介していきます。