【言語教育①】では、ことばが必要な理由についてお話しました。では、ことばを話すことのできないあかちゃんはどのようにコミュニケーションを取っていると思いますか?
生れたばかりのあかちゃんをイメージしてみましょう。寝てるだけ、泣くだけ、ミルクを飲むだけ・・・。そんな何もできないように見えるあかちゃんだって、一生懸命コミュニケーションを取ろうとしているんですよ♪
あかちゃんのコミュニケーション
コミュニケーションとは、感情や情報、意思を伝えあうこと。生れたばかりのあかちゃんは、まだ何もできないように見えますよね。でも、「お腹空いたよ~」「暑いよ~」と、何か不快に感じた時にその時できる最善の方法“泣く”ことで訴えています。周りの大人はあかちゃんが泣くと、行かなきゃ!何かしなきゃ!と思いますよね。そうやって、“泣く”ことに対して大人が関わるという形でコミュニケーションを取っているんです。
生後2~3か月くらいすると、「アーアー」「クークー」などのクーイングと呼ばれる泣き声以外の声を出すようになります。この声に大人が応じることで、あかちゃんは大人からの応答を意識するようになり、イントネーションを変えて意思を伝達するようになっていきます。2~3か月というと、まだ首も安定しないような状態ではありますが、積極的にコミュニケーションを取ろうとしていることがわかりますね。
生後8~9か月くらいになると、「抱っこして」「やめて」「あそこ連れていけ」と、要求を手の動きや体で表現して伝えるようになります。そして、1歳を過ぎると声のバリエーションも増えて、何となくおしゃべりしているように聞こえたり、「ちょうだい」「どうぞ」のようなやりとりもできるようになってきます。
ことばが育つ環境とは
このように、ことばを発する前からあかちゃんは周りの環境(大人)に積極的に働きかけて、コミュニケーションを取ろうとしています。あかちゃんと過ごすときには、その時できる精一杯の方法で意思を表現しているということを認識して、応えてあげたいなと思います。そうやって、意思を受け止めてもらう、あかちゃん自身が発した声や動作に応答してもらえる経験があるからこそ、環境(大人)への信頼関係が構築されていくのです。コミュニケーションは相手がいてこそ成り立つものですから、あかちゃんが過ごす環境に、伝えたい相手がいるからこそ、あかちゃんも一生懸命なのです。
逆に、そのような環境(大人)がなかったらどうなると思いますか?
脳科学で見ることばの育ち
子どもの育ち、発達を脳科学の視点で言うと『神経細胞同士のつながりあい』と表現できます。脳にはたくさんの神経細胞があって、そのひとつひとつは最初は繋がっていません。だから、生まれたばかりのあかちゃんはできることが少ないのです。神経細胞同士は、必要に応じて電気信号が流れることで徐々に繋がってその機能を獲得する=発達していきます。
ことばを理解して話すようになるためには、脳の中の言語を司る領域の神経細胞同士がつながりあって、信号が流れるようになる必要があります。狼少女のアマラとカマラをご存知ですか?人間として生まれた彼女達は、過ごす環境で言語を必要としなかったがために、ことばをほとんど話すことができませんでした。このように、使用されない神経細胞はどんどん刈り込まれてしまうのです。刈り込まれた神経細胞は戻りません。だから、ことばを獲得する時期の環境にことばがある必要があります。
人間は、ことばを持って生まれてくるのではなく、ことばを獲得する機能(神経細胞)を持って生まれてきます。その機能を十分に働かせて、力を発揮するには、ことばを吸収するための環境とコミュニケーションを取りたいと思える環境(大人)の存在が重要なのです。
※【運動論②】でも説明しているので、こちらも参考にしてください。
https://montessori-hoikunotane.com/baby_hattatu_undou/
まとめ
つまり、ことばの育つ環境とは、吸収するためのことばを語りかけてくれる環境(大人)、コミュニケーションを取りたいと思える存在(大人)のいる環境です。ことばの発達のために、赤ちゃんと関わる私たち大人が、重要な環境の一部だということを認識し、ゆったりと語りかけたり、あかちゃんの発信を見逃さずに応答できるといいですね。
次回は、ことばの獲得のための時期、言語の敏感期についてお話します♬
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