乳幼児期に現れる敏感期のひとつ、『言語の敏感期』についてお話していきます。
※敏感期については、こちらの投稿をご覧ください
〔乳幼児期に現れる“敏感期”をご存知ですか〕
『言語の敏感期』が、なぜ乳幼児期に現れるのかと言いますと【言語教育①】でお伝えした通り、人間として生きていくために必要だからです。どう必要なのかと言うと、“コミュニケーションの手段”として必要、“思考の道具”として必要ということになります。
では、『言語の敏感期』の始まりはいつからだと思いますか？
実は、聴覚が動き出す胎児期（だいたい胎児期７か月）から始まっているんです！
この『言語の敏感期』には、二つの側面があります。
ひとつは、音声を媒介とした言語活動『話し言葉の敏感期』。もうひとつは、文字を媒介とした言語活動『書きことばの敏感期』です。
話しことばの敏感期
“話しことばの敏感期”は、音声を媒介した言語活動に対して現れます。お話ができるようになるまでに必要な敏感期ですね。
聴覚が動き出す頃から、ことばを話し始めるくらいまでが『話しことばの敏感期』です。月齢で言うと、胎児期7か月くらい～3歳くらいまでです。敏感期の現れとしては、話す大人の口元をじーっと見たり、その口に手を突っ込んでみたり笑。指差しして大人に名称を言ってもらうことを喜んだり、真似して単語を言おうとするという姿が見られます。
この時期には特別な道具は必要なく、環境の中に“ことば”さえあれば、無意識に吸収していきます。この無意識がポイントなんです！話しことばの敏感期にいる子どもたちは、意思の発達段階で言えば吸収する精神（無意識的学習）にいます。だから、理由とか概念とかは置いておいて、まるでカメラで写真を撮るかのように簡単にことばを吸収していきます。
合わせてこちらの投稿もチェック→〔イヤイヤ期と呼ばれる理由のひとつ、意思の育ち〕
書きことばの敏感期
“書きことばの敏感期”は、文字を媒介とした言語活動。つまり、文字の読み書きができるようになるために現れる敏感期です。
“話しことばの敏感期”の時期に、たくさんのことばを溜め込んで話せるようになると、今度は文字に興味を持つようになります。紙と鉛筆があれば、✕やら記号？やらを紙にびっしり書いてみたり、絵本を開くと一文字一文字を拾って読んでみようとしたりします。
文字を書くことに対する敏感期は3歳半～4歳半、文字を読むことに対する敏感期は4歳～5歳です。一般的な保育園では年長さん（5・6歳）になってから文字のワークなどを取り入れている園が多いのかなと思いますが、敏感期を考えるとそれではちょっと遅いような気もします。
書きことばは、話しことばと違って学習する場が必要ですから、モンテッソーリ教育では、いつの間にか文字を書いたり読んだりできるように細かいステップで系統だった言語教育の教具が用意されています。
言語教育の系統図
言語教育には、このような系統図があります。モンテッソーリ教育は、子どもが自己教育力を発揮して、自分で自分に必要なものを選び取って活動するというのが特徴ですが、言語教育と算数教育に関しては、このような系統図が用意されています。これは、いわゆる保育過程やカリキュラムではありません。しかし、この順で知らせる方が最も子どもに無理のない方法で知らせていけるという、教師のためのガイドのようなものです。
敏感期の現れに沿って、「話しことば」→「書きことば」→「文法」という流れでできています。モンテッソーリ教育ではこの敏感期に沿って、子どもが最も「文字を書く」ことにエネルギーを燃やすときに、文字を書くことができるように環境を用意しているので、無理なく獲得することができるわけです。モンテッソーリ教育の保育園で働いて、２歳児（３歳半）さんが、文字のなぞり書きをすることに夢中になっていたことの驚きました。一般的な園では２歳児さんで文字なんてやらないですよね。この時に、敏感期に合った環境を用意することの大事さを、子どもから教えてもらいました♬
まとめ
言語の敏感期についてお話してきましたが、「話しことば」を土台として「書きことば」の活動が可能になるわけなので、ことばを話す前の子ども達、話し言葉の敏感期の時期が重要です。たくさんの言葉を吸収すればするほど、文字として書いたり読んだりする対象が増えることになりますから、胎児期7か月～3歳くらいまでの話しことばの時期がとっても重要ってこと！よく乳児の保育で「ことばのシャワーを浴びせましょう」というのは、まさにその通りで、子どもがことばを発する前からの語りかけが大切です。
続いては、この言語の敏感期を背景として行うことができる、保育に取り入れやすい“ことばの活動”を紹介します♬
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