【感覚教育②】誕生後、感覚器官を刺激することから始まる感覚教育~感覚の敏感期2つの側面~

③『感覚教育』

胎児期から始まる『感覚の敏感期』には、2つの異なる側面(時期)があります。それぞれの時期によって、子ども達に必要な環境、大人の関わり方を変えていく必要があります。

『感覚の敏感期』2つの側面
意志の育ち

“意志の育ち”を表わした図です。

誕生後からだいたい2歳半くらいまでの間が【吸収する精神(無意識)の時期】、そして2歳半くらいから6歳までの間が【意識の芽生えの時期】です。“意志の育ち”の時には、この2つの時期で子どもの意志の表し方が変わるよというお話をしました。

では、感覚の敏感期は、どのように変わるのでしょうか。

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『3歳は意志の育ちの中間地点』
https://montessori-hoikunotane.com/3sai-iyaiyaki/

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『吸収する精神(無意識)の時期』

“感覚印象の溜め込み”の時期です。胎児期~2歳半くらいの間、感覚器官を刺激するものに積極的に関わります。何でもかんでも触ったり、片っ端からお口に入れたりしながら、それがなんだかわからないけど、無意識にその印象を吸収して溜め込んでいきます。

各器官の敏感期の姿としては、
触覚:何でもかんでも触る、衣類のタグを触るのが好き
視覚:揺れるカーテンを見る、ママの顔をじーっと見つめる
味覚:ミルクのメーカーを変えると飲まない、なんでも口に入れる
聴覚:遠くのヘリコプターがわかる、机に積み木を打ち付けて音を楽しむ
嗅覚:匂いを嗅ぐのが好き、抱く大人が変わると匂いでわかる

『意識の芽生えの時期』

“感覚印象の整理、秩序化”の時期です。2歳半くらいから、それまでに溜め込んだ感覚印象を整理しようとします。例えば、私はコーヒーが好きなのですが、なんとな~く好きな味だなと思っていたのが、ブラジルの豆だったんだ!とわかるような感じ?です笑。

この感覚印象を整理するときに役立つのが『感覚教具』なんです。

“感覚印象の整理”とはどういうこと?

私が0歳児クラスを担当していた時、長いことハイハイで生活しているHくんがいました。Hくんは、お部屋の中から転がるものを見つけるのがとっても上手!ボールはもちろん、たくさんの形がある積み木の中からでも、転がりやすい円柱を探して、転がしてハイハイで部屋中を追いかけて楽しんでいました。

その頃の私は『感覚の敏感期』を知らなかったので、「あっちこっちにおもちゃを持って行かないで~!」なんて思っていました笑。

これが、無意識に感覚印象を溜め込んでいるという時期です。その頃のHくんは、もちろん円柱や球体という名前は知りませんが、転がすならコレ!というのを何となくわかって選んでいたのです。

幾何学立体

そんなHくんが、幼児クラスになって【幾何学立体】という教具に出会ったとき、転がるものを「球体」、転がらないものを「立方体」ということを知る。これが、感覚印象が整理された瞬間です!

他には、「大きい・小さい」や「長い・短い」という量的な感覚も、教具を使うことで整理することができます。例えば、モンテッソーリ教育と言えばコレ!というくらいの象徴的な教具である“ピンクタワー”は、10個の立方体それぞれに持ち方が決まっていて、筋肉感覚で違いを感じられるのが魅力の一つ。この立方体を扱いながら、自分の手をこうやって使うものは「大きい」ということかぁ~、こっちは指先だけで持てるから「小さい」なんだなぁ~というような感じで、整理されていきます。

感覚教育の始まりはいつからでしょうか?

胎児期から感覚の敏感期は始まっていて、、、でも、意識の芽生えの時期になって初めて“感覚教具”が登場する、、、となると、、、

「感覚教育はいつから始めるものなの!?」

と、思いますよね笑。

いつから始めるのかと言われたら、答えは『誕生直後から!!』です。視覚が動き出して五感が揃った頃、「見る」ためのモビールを吊るして視覚を刺激する。また、いろいろな音を鳴らしたり声を掛けることで聴覚を刺激することができます。つまり、ちょっと意識するだけで誕生直後から始めることができるんです。

まとめ

2歳半頃までの吸収する精神の時期に、感覚印象をたくさん溜め込んでいることが感覚教育の土台となります。ですから、吸収する精神の時期に様々な経験を通して、感覚器官を刺激し、たくさんの印象を溜め込むきっかけを作ってあげたいと思います。

次回は、2歳半までの吸収する精神の時期にいる子を対象に、日常生活や保育の中に取り入れやすい感覚教育、どのように感覚器官を刺激することができるのかを紹介していきます。

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