【感覚教育⑤】感覚教具が、ものごとを“考える”方法の獲得を助けてくれる!3つの操作方法P・G・S

円柱さし ③『感覚教育』

胎児期から五感を刺激されることに興味を持ち、たくさんの感覚体験を積んできた子どもたち。1歳半(もしくは2歳)くらいからは「同じ」がわかるようになり、知性を働かせることにも興味を持ちます。2歳半くらいになると、すっかり思い通りに動かせる体や手指を持ち、“考える”ということが面白く感じるようになります。

そうなってきたころに、ようやく出番がやってくるのが感覚教具です✨

ものを考える方法の獲得

大人の私たちは、ものごとを“考える”ということをする時には頭の中だけで考えることができますよね。だから、考えている時って、動きを止めて集中したり、別のこと(掃除とか)をしながら考えることができちゃいます。

しかし、子どもは違います。子どもの学び方の特徴は「動きを伴う」ということ。“考える”方法を身に付けるには、実際に考える対象となるものを扱って、手や体を動かすことで“考える”ということができるようになっていきます。そのために、全ての感覚教具には操作方法があります。

例えば、ほいくのたねのロゴにも使用している『ピンクタワー』という教具は、視覚で3次元の変化を捉えることが目的です。そのために10個の立方体を大きいものから順に積むという動きをするのですが、積むときには大きさを比較して「こっちかな~」って考えますよね、このおしごとでの経験を通して、実際に触れなくても視覚だけで大きさの違いを考えることができるようになるわけです。

このように、「考える」方法を獲得することを教具が助けてくれるのです。

感覚教具 3つの操作方法

感覚教具の基本的な操作方法には、次の3つがあります。感覚教具それぞれの目的に応じて、ペアリングだけだったり、ペアリングとグレーディングの両方を備えていたりします。この操作方法があるということが、子どもに扱い方を任された“おもちゃ”と教具との大きな違いになります。

  • P:ペアリング
    (対にすること)
  • G:グレーディング
    (段階づけること)
  • S:ソーティング
    (分類すること)

それぞれを詳しく説明していきましょう↓

P:ペアリング(対にすること)

Pはペアリング(Paring)、2つのものを比較して、大きさ、形、色、強さ、重さなど、1つの性質を取り出し、等しいものを対にする。
【感覚教具:円柱さし、色板Ⅰ・Ⅱ、幾何学立体、触覚版、雑音筒 など】

G:グレーディング(段階づけること)

3つ以上のものを比較して、大きさ、形、色、重さなど、1つの性質を取り出し、大小や濃淡などの段階をつけること。
【感覚教具:ピンクタワー、茶色の階段、長さの棒、円柱さし など】

グレーディング
S:ソーティング(分類すること)

3つ以上のものの中から、大きさ、形、色など、1つの性質を取り出して比較し、完全に同じものどうしに分類(類別)すること。
【感覚教具:重量版、実態認識袋S のみ】

ペアリング説明

遊びの中にP・G・Sを取り入れてみると・・・

感覚教具は園にないわ・・・という方におすすめなのが、この3つの操作方法を取り入れた遊びの展開です。みなさんがイメージしやすいように、だいたいどこの園にもあるだろう『レゴブロック』を使って考えてみます♬

P:ペアリング(対にする)
準備:まずはブロックの中から各色2個ずつ取り出して、カゴなどに入れておきます。
活動:子どもは、そのかごの中から同じ色を見つけて、見つかったらくっつけていきます。

G:グレーディング(段階づける)
準備:長さの違うブロックを(できればすべて同じ色)1つづつ取り出してお皿などに入れる。
活動:子どもはそれを、長い順に積み上げていく。

S:ソーティング(分類する)
準備:ブロックと同じ色を付けたカップ(紙コップに色を付けるなど)を用意。
活動:子どもはカップの色を見て、同じ色のブロックを入れていく。

例えばたくさんのお友達でレゴを使って遊んでいる場面でも、色のついたカップを置いておくと自然と同じ色を集め始めたりします。また、お散歩先だったら「この葉っぱと同じ種類のものを探してきて、よーいどん!」「これより小さいものを見つけよう!」とか言って、PやGの活動にもなりますね。

感覚教具があれば一番良いですが、ない場合は、私たち大人が子どもとの関わりの中に「考える」機会を多く取り入れることで、ものを考える方法の獲得を助けることもできます。

まとめ

マリア・モンテッソーリは「感覚教育はすべての教育の基盤である」と言っています。

感覚教具でこの操作方法をたくさん経験することで、子どもの知性がより花開き、感覚教育以降の知的教育分野へとつなげていこうと考えられています。実際、感覚教育以降の『言語教育』『算数教育』『文化教育』でも、この操作方法を用いて行われるので、しっかり理解しておきましょう。

感覚教具って、大人が見るとちょっとつまらなそうに見えるんです。私もピンクタワーを最初に見たときは、「こんなの簡単すぎて、すぐに飽きるでしょ」なんて思っていました。でも、色や形、重さにまで意味があって丁寧に作られていることや、教具が子どもに教えてくれることを知ってからは教具の見方が変わりました。今や、感覚教具を触らずに大きくなるなんてもったいない!と思います。ぜひ、たくさんの子ども達に触って欲しいですね。

「感覚の敏感期」や「知性の働き」についてお話してきましたが、次回はようやく『感覚教育』の目的についてのお話です。

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